ふるるんと薄黒い粘着質を排出したらば、胴体は空洞、もはや吐き気すら催さず。 黒鉛を舐めるのが好きだった少年の頃、嗚呼、鉛筆の質が悪かったのか、それとも僕の手が汚れていたのか、掌にべっとりと着いたそれを猛毒であるかのように恐る恐る舌先で舐める、その数回の経験が、20年の歳月をかけて僕の体内で繁殖している。 粘着質は日に日にその粘度を増しており、やがて僕の食道を支配するだろう。 傍らに真っ白な氷砂糖を置いているのはそのためだ。
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