小さい頃、いや中学くらいまで、自分は時間を操る能力を持っていると思っていた。
突然何を言い出すのだと思われるかもしれないが、今でも実際に、僕の周りの「時間の流れ」が速くなる時がある。
「もう一年か、早いな」とか「貴方と出会ってもう半年ね」とか「朝八時じゃなくて夜八時じゃん!!!」というレベルではない。もう本当に、目の前で起こるすべての現象が”速い”のだ。
それこそ時計の秒針さえカチカチカチとすごい速さで進む。こういう言い方は正しくないだろうが、1秒間に3~4目盛りくらい進んでいる感じだ。すべての時計が同じ速さで進むから、僕の家全体が謎の怪電波に侵されてでもいない限り時計のせいではない。
昔は今より頻繁にこの現象が起こっていたので、自分には時を早める力があり、いつかは自由にこれを操れるようになるのだと思い込んでいた。
最近になってどうやらこれは、僕の脳の方が低速で回転していることによるものだということが分かってきた。
思考のスピードが落ち、相対的に周囲の時間が早まっているように感じているのである。
死に直面したときなど、極限状態で人間は周りの風景がスローモーションに見えることがあるそうだが、その逆で、究極の怠け癖の賜物だったわけだ。
まあ、風邪なんかを引いた時に起こることが多かったので、体調の変化によるものなのかもしれないが。ん?病気か??
いずれは自分の意思で周りをスローモーションにしてみたいものだ。