帰ってきました。
ロン・ミュエック展、本当に不思議な体験だった。
細部まで人と寸分違わぬ、ただサイズだけ狂ったような人形を、本物の人が囲んで眺めている。
その様子を見ていると、どっちが人でどっちが人形か混乱してしまいそうになる。
乱歩の世界のような不気味さとユーモア。
血管とか毛穴とか鼻毛とかニキビとか・・・そして何よりわずかに赤みを帯びた肌の色はもう人間そのもの。
生きている人間の温度を感じる程だった。
本当に大げさでなく、じっと作品を見つめていると、それが今に動き出すのではと思う。
僕たちが他の人間を見て感じる「その人が生きている」という実感がここまで再現されると、もう視覚だけで人を人と判別するのは恐ろしい。
「僕以外の全人類はロボットかもしれない」という疑いを晴らす道具が一つ減ってしまった。
おそろしや
ロン・ミュエック展